秋晴れの空を思わせるような、爽やかな表紙の『都市』10月号のページを開いてみましょう。
「今月の一句」は、中岡毅雄先生の「啓示」より。
淦の中のたうつ鮭を打ちにけり
迫力満点の一句から、グッと俳句の世界に引き込まれます。
俳句モードに入ったら、早速、筑紫磐井先生の「俳句の歴史入門講座」(9)を。この夏、中西主宰も参加して小諸で行われた「こもろ・日盛俳祭」の様子から、「俳句に季語を入れなくてはいけないのかどうか」を、分かりやすく解説してくださっています。
このページは、都市会員・人魚さんの「今号のお勧め」とのこと。ビビッドで現在を詠った俳句が好み、という人魚さんが、いずれ挑戦してみたい、という無季俳句。ひとつの課題として、また改めて俳句について考えるきっかけになったとのことです。
季語が必要かどうか、筑紫磐井先生の講座の続きは『都市』本誌で。
加藤霞村という、聞き慣れない名前の俳人を取り上げておられる中村雅樹先生の「加藤霞村と『牡丹』」。名古屋を中心とする中部地区の俳句に大きな足跡を残した方だそうです。病床にあっても主宰する『牡丹』の雑詠の選を行い、命懸けで俳句に立ち向かった霞村。忘れられた俳人にスポットを当てた、読み応えのあるページです。
「汗し来ぬ」は主宰の句のページ、「雪〜藤田湘子の一句」では、主宰が藤田湘子の一句を読み解きながら、湘子の思い出を語ります。
美渦さんの「都市のプチ・トリアノン」五回目「落花生収穫」。畑の植物に対する、愛情一杯の書きっぷりは、今回も健在です。畑仕事の達人・美渦さんが「世の中で一番不思議な豆類」であるという、「落花生」。どこが不思議なのかは、『都市』でどうぞ。
「河東碧梧桐研究」の一回目では、碧梧桐俳句50句、有也さん、薫風さんによる評論、七海さん、葵さん、旦さん、明さんによる一句鑑賞と、ボリュームのある特集を組んでいます。
史実に基づいて碧梧桐俳句に迫った有也さん、自分の感性に合う碧梧桐を発見した薫風さん。
それぞれが個性的な評論に、取り上げた俳句が、すでにその人の作風を物語っているような、これまた個性的な一句鑑賞文。都市のメンバーは本当に個性派揃いです。
「新・俳句月評」は都市編集長・燐さんの担当。芸能に造詣が深い燐さんは、角川の『俳句』8月号から、
旅役者誰も老け顔菖蒲風呂 加藤 憲曠
の句を一番に鑑賞。実に燐さんらしい選択ですが、後半は、子育て俳句にもエールを送っています。グッと俳句の内面に踏み込んだ鑑賞と、幅広い知識で、毎回為になる月評です。
「他誌散策」の五回目は、『船団』を取り上げた葉子さんと、『門』について書いた恵未さん。
美しく、折り目正しい作風の葉子さんが、ユーモラスで肩の力が抜けた雰囲気の『船団』の食べ物俳句を、楽しく鑑賞。読んでいると、お腹が空いてきそうです。
恵未さんの『門』は、とても素直に、ご自分に引き寄せて鑑賞されていて、好感が持てる鑑賞文でした。
会員の俳句を載せた「都市集」。主宰が「都市集」の句を解説する「都市めぐり」と続き、奈津子さんの「歳時記『鳥』」、佐紀さんの「歳時記『奈良』」はどちらも、今回三回目。毎回、深い知識と情熱に心打たれます。
句集評は、梢さんが前田倫子さんの『翡翠』を、書評は、了太さんがサムエル・ウルマンの『青春とは、心の若さである』を取り上げています。梢さん、了太さんが交代で、毎回タイプの違う句集、本を取り上げているので、読書の際の参考に。
エッセイ「耳の記憶」は燐さん。リズムから考える俳句について、語っています。
「はじめてのネット句会」は新会員・透さんが執筆。ある時は、紙芝居屋さんにして似顔絵画家さん、またある時は俳優さん、その他にも色々な顔を持つ、という変わり種の透さんが、インターネットの句会から俳句を始めたきっかけを書いています。今回は、「都市の十句」にも選ばれ、句作も好調な様子。
ひきだしに肩たたき券朝曇 山城 透
そんな透さんからのコメント。
「初めて旧かなで書いてみました。なかなか大変ですが、勉強のためにも続けていきたいと思っています。」とのこと。
何事にも熱心で、勉強家の透さんらしいコメントでした。
最終頁の「カクテルラウンジ」で、編集長・燐さんが「俳句の歴史とつながっていたい」という主宰の言葉を引いて、「都市」の決意を語っています。
『都市』も今号で11号。早いもので、年内の発刊も、12月発行のあと一号を残すのみとなりました。充実した『都市』が出来るよう、都市会員みんなでがんばって行きましょう!
栗山 心